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東京都江戸川区 田島硝子 伝統的な吹きガラスの技法”江戸切子”

東京都江戸川区 田島硝子

器であると同時に、透き通った美しい色合がインテリアとしても人気のある切子。
現在、江戸切子を作る職人は100名程。
その一方で、切子の原料となる硝子を作る工場は、都内で数軒しかない。

今回、その中の一つ田島硝子を訪問した。
お話しを伺ったのは田島硝子3代目、田嶌大輔さんである。

田島硝子は昭和31年、田嶌松太郎氏によって江戸川区に設立された。
当時は、東京だけで数十軒もの硝子工場がひしめいていた。
そんな時代に田島硝子は、ある硝子工場の一部を間借りしてスタートしたという。

当時の硝子工場はどこも、硝子を溶かす炉の燃料を運ぶために川岸に建っていた。
輸送手段が水路だったのだ。

東京都江戸川区 田島硝子

一方、現在の田島硝子は川から離れた場所に建っている。
このことから田島硝子が、輸送手段が陸路に変わってからの”比較的新しい”工場であることが分かるのだが、一方で製法については、今も伝統的な吹きガラスの技法を使って硝子の生地を作り続けている。

現在、この製法で本格的な硝子生地を作り続けている硝子工場は、国内では8軒程度しかないといわれている。

また、江戸切子で人気の高い赤い硝子生地は、国内では田島硝子のみが製造している。
その他にも、数々の賞を受賞している田島硝子は、技術力のある国内有数の硝子工場として硝子産業を支えている。

技術の継承の難しさ

田島硝子の工場の中心には、巨大な炉がある。
作業中、炉の中の温度は1300-1400度にもなる。
工場内も、時として50度近くになる。
スポット冷房があるものの、職人はこの過酷な中で8時間火と向き合う。

江戸切子のもととなる硝子は、2重構造になった被せ硝子(きせガラス)というもの。
例えば、口肉が1.5㎜程度の場合、外側の0.2~0.3ミリの厚さだけに色がついてて、内側が透明となっている。

東京都江戸川区 田島硝子

職人は、炉の中で水あめ状に熔けた硝子の種を竿に巻き取り、金型の中で息を入れて形にする。
型吹きという工程である。

硝子の生地製作は、手際が大切となる。

物理的に完成まで時間をかけることが出来る切子製作と、炉から種を取り出すと同時に、固まり始める生地製作では、仕事の重点が全く異なる。
そういう意味では時間をかけて補える切子職人の方が、努力が報われるといえるのかも知れない。

一方、生地作りでは、どうしても時間の制限からセンスによる部分があるという。

「様々な肉回りのものがある中で、種の取り方から、吹き方から、全部違う。だから、それを伝承させることは本当に難しいんです。」

休みの日でも田島硝子の炉の前には、自ら進んで練習をする職人の姿が見られる。
この職人達こそがまさに国内有数の硝子工場である田島硝子を支えているのだろう。